逆流性食道炎を改善する生活習慣とは?
逆流性食道炎を改善する生活習慣とは?
「胸やけがする」「酸っぱいものが口まで上がってくる」「食後に胸のあたりがムカムカする」
このような症状でお困りではありませんか?
これらは、胃酸などが食道に逆流する「胃食道逆流症(GERD)」でみられる代表的な症状です。
胃食道逆流症の治療では、胃酸の分泌を抑える薬が使用されますが、日常生活の見直しも大切です。
今回は、逆流症状の改善に役立つ生活習慣について、消化器内科医がわかりやすく解説します。
逆流性食道炎はなぜ起こる?
胃と食道の境目には、胃の内容物が食道に逆流しないようにする仕組みがあります。
しかし、この働きが十分でなかったり、お腹の圧力が高くなったりすると、胃酸などが食道に逆流しやすくなります。
食道は胃と異なり、胃酸に対する防御機能が十分ではありません。そのため、胃酸などの逆流によって胸やけが起こり、食道の粘膜に炎症が生じることがあります。
なお、胸やけなどの症状があっても、胃カメラで明らかな炎症が見つからない場合もあります。
① 寝る直前の食事を避ける
逆流症状を改善するうえで、まず見直したいのが夕食の時間です。
食事の直後は胃の中に食べ物が残っているため、横になると胃の内容物が逆流しやすくなります。
そのため、就寝する2〜3時間前までに夕食を済ませることが勧められています。
例えば、午後11時に就寝する方であれば、午後8〜9時頃までに食事を終えることが一つの目安です。
仕事などの都合で夕食が遅くなる場合には、食事量を控えめにするなどの工夫も考えられます。
② 寝るときは上半身を少し高くする
夜間の胸やけや、寝ているときに胃酸が上がってくる症状がある方には、寝る姿勢の工夫が役立つ場合があります。
具体的には、ベッドの頭側を高くしたり、上半身に傾斜がつくクッションを使用したりする方法があります。
大切なのは、頭だけではなく上半身を持ち上げることです。
枕を何個も重ねるだけでは、十分な逆流予防効果が得られないことがあります。
また、左側を下にして横になることで、夜間の胃酸の逆流が減る場合もあります。
③ 体重が気になる方は減量も大切
肥満は胃食道逆流症に関係する要因の一つです。
特にお腹まわりの脂肪が増えると、腹部の圧力が高まり、胃の内容物が逆流しやすくなると考えられています。
過体重や肥満のある方では、減量によって逆流症状の改善が期待できます。
ただし、標準体重の方まで無理に体重を減らす必要はありません。
適切な食事と運動を心がけ、無理のない範囲で体重を管理しましょう。
④ コーヒーや辛い食べ物は避けるべき?
逆流性食道炎について調べると、コーヒーやアルコール、香辛料などを控えるように書かれていることがあります。
症状との関連が指摘される食品・飲料には、次のようなものがあります。
- コーヒー
- アルコール
- 脂肪の多い食事
- 柑橘類
- 香辛料の多い料理
- 炭酸飲料
ただし、これらをすべての患者さんが一律に避ける必要はありません。
例えば、コーヒーを飲んでも症状が出ない方もいれば、飲むと胸やけが強くなる方もいます。
まずは、ご自身の症状が悪化しやすい食べ物や飲み物がないか確認してみましょう。
特定の食品を摂取した後に症状が繰り返し出る場合には、その食品を控えることで症状が軽くなる可能性があります。
また、喫煙は逆流症状に関係することがあり、禁煙が勧められています。禁煙は逆流症状だけでなく、さまざまな病気の予防にもつながります。
⑤ 食べ過ぎにも注意しましょう
一度に大量の食事をとると、胃が大きく膨らみ、胃の内容物が逆流しやすくなることがあります。
特に、脂肪の多い食事を大量にとることや、食後すぐに横になることは避けたい習慣です。
食事の量を適度に調整し、食べ過ぎないように意識しましょう。
生活習慣を改善しても治らない場合は?
生活習慣を見直しても、胸やけや胃酸の逆流が続く場合には、薬による治療が必要になることがあります。
胃酸の分泌を抑える薬には、PPIやP-CABなどがあり、症状や食道の炎症の程度などに応じて使い分けます。
また、胸やけのように感じる症状でも、胃食道逆流症以外の病気が原因となっている場合があります。
症状が続く場合や、薬を飲んでも十分に改善しない場合には、医療機関で相談することが大切です。
特に、食べ物が飲み込みにくい、意図しない体重減少、吐血や黒い便、繰り返す嘔吐などがある場合には、早めに受診してください。
また、強い胸痛や息苦しさ、冷や汗などを伴う場合には、心臓などの病気の可能性もあるため、速やかな救急受診が必要です。
まとめ:まずはできることから始めましょう
逆流性食道炎を含む胃食道逆流症では、日常生活の工夫が症状の改善につながることがあります。
特に大切なのは、次の3つです。
- 寝る2〜3時間前までに夕食を済ませる
- 夜間に症状がある場合は、寝る姿勢を工夫する
- 過体重や肥満がある場合は、無理のない減量を心がける
一方で、コーヒーや香辛料などの食品については、必要以上に制限するのではなく、ご自身の症状との関係を確認することが大切です。
前田内科消化器科では、胸やけや胃酸の逆流などの症状についてご相談いただけます。必要に応じて胃カメラなどの検査を行い、症状や検査結果に合わせた治療をご提案します。
気になる症状が続く場合には、お気軽にご相談ください。
参考文献
- Katz PO, Dunbar KB, Schnoll-Sussman FH, et al. ACG Clinical Guideline: Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. Am J Gastroenterol. 2022;117:27–56. DOI: 10.14309/ajg.0000000000001538.
- ASGE Standards of Practice Committee. American Society for Gastrointestinal Endoscopy guideline on the diagnosis and management of GERD: summary and recommendations. Gastrointest Endosc. 2025.