コラム

げっぷが止まらない原因は?食道げっぷとは?

げっぷが止まらない原因は?

「げっぷが何度も出る」「人前でもげっぷが出てしまう」「胃薬を飲んでもなかなか改善しない」

このような症状で困っていませんか?

げっぷは誰にでも起こる自然な現象ですが、頻繁に繰り返す場合には、胃や食道の働きが関係していることがあります。

実は、げっぷには大きく分けて2つの種類があり、それぞれ起こる仕組みや対処法が異なります。

今回は、意外と知られていない「食道げっぷ」について、消化器内科医がわかりやすく解説します。

げっぷには2つの種類がある

げっぷというと、胃にたまった空気が口から出てくるイメージがあるかもしれません。

しかし、すべてのげっぷが胃から出ているわけではありません。

① 胃げっぷ(Gastric belching)

一般的によく知られているげっぷです。

食事や飲み物と一緒に飲み込んだ空気などが胃にたまり、その空気が食道を通って口から排出されます。

食後や炭酸飲料を飲んだ後などに起こりやすく、通常は自然な生理現象です。

② 食道げっぷ(Supragastric belching)

一方、食道げっぷは少し仕組みが異なります。

口やのどから食道内に空気が入り、その空気が胃まで到達する前に、すぐに口から排出される現象です。

つまり、胃にたまった空気を出しているわけではありません。

この動作が繰り返されることで、短時間に何度もげっぷが出ることがあります。

食道げっぷはなぜ起こる?

食道げっぷは、無意識のうちに身についた空気の出し入れの動作によって起こると考えられています。

ストレスや緊張、げっぷへの意識などが症状に影響する場合もあります。

また、何かに集中しているときや睡眠中には症状が減ることがあり、こうした特徴も診断の参考になります。

ここで大切なのは、食道げっぷは本人がわざと出しているわけではないということです。

無意識に繰り返される動作であり、本人にとって大きな悩みとなることもあります。

胃薬を飲んでもげっぷが治らないのはなぜ?

げっぷが多い方の中には、逆流性食道炎と診断され、胃酸を抑える薬を服用している方もいます。

しかし、胃薬を飲んでもげっぷが改善しない場合があります。

その理由の一つとして、食道げっぷが関係している可能性があります。

逆流性食道炎の治療では、胃酸の分泌を抑える薬(PPIなど)が使用されます。

一方、食道げっぷは胃酸の分泌そのものが原因ではないため、胃酸を抑える薬だけでは改善しないことがあります。

また、食道げっぷと胃食道逆流が同時に起こっている場合もあります。

そのため、薬を飲んでも症状が続く場合には、胃酸以外の原因も考えることが大切です。

ただし、胃薬が効かないからといって、必ず食道げっぷであるとは限りません。

食道げっぷはどのように診断する?

まずは、げっぷが出る頻度やタイミング、食事との関係、胸やけなどの症状について詳しく確認します。

必要に応じて、胃カメラなどで胃や食道の病気がないか調べることもあります。

さらに、胃げっぷと食道げっぷを詳しく区別する検査として「食道インピーダンス・pHモニタリング」があります。

この検査では、食道内の空気や液体の移動、胃酸の逆流などを調べることができます。

空気が胃から上がってきているのか、それとも食道に入った空気がすぐに排出されているのかを確認することで、げっぷの種類を判別する手がかりになります。

ただし、すべての患者さんにこうした専門検査が必要なわけではありません。

食道げっぷの治療には腹式呼吸が役立つことも

食道げっぷでは、胃薬とは異なる治療が役立つことがあります。

その一つが「腹式呼吸」です。

腹式呼吸は、横隔膜を意識しながらゆっくり呼吸する方法です。

例えば、次のように行います。

  1. 椅子に座るか、楽な姿勢をとります。
  2. 片手を胸、もう片方の手をお腹に当てます。
  3. 鼻からゆっくり息を吸い、お腹が膨らむことを意識します。
  4. 口からゆっくり息を吐き、お腹がへこむようにします。
  5. 無理のない範囲で繰り返します。

食道げっぷでは、このような呼吸法を専門家の指導のもとで練習することで、症状の改善が期待できる場合があります。

また、認知行動療法や言語療法など、無意識の動作に働きかける治療法もあります。

専門的な検査で空気の動きを確認し、その結果を患者さん自身が理解することも、治療に役立つ場合があります。

げっぷが続く場合は消化器内科に相談を

げっぷの多くは心配のない生理現象ですが、頻繁に繰り返して日常生活に支障が出ている場合や、胃薬を飲んでも改善しない場合には、一度原因を確認することが大切です。

特に、胸やけ、胃痛、飲み込みにくさなどを伴う場合には、逆流性食道炎をはじめとする病気が隠れている可能性もあります。

また、食べ物がつかえる、体重が減る、吐血や黒い便が出るといった症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

げっぷは単に胃の中のガスが多いだけとは限りません。

症状が続いてお困りの方は、消化器内科でご相談ください。

前田内科消化器科では、胃カメラを含めた消化器疾患の診療を行っています。症状に応じて必要な検査や治療をご提案し、専門的な検査が必要な場合には適切な医療機関への紹介を検討します。


参考文献

Moshiree B, Drossman D, Shaukat A. AGA Clinical Practice Update on Evaluation and Management of Belching, Abdominal Bloating, and Distention: Expert Review. Gastroenterology. 2023;165(3):791-800.e3.

DOI: 10.1053/j.gastro.2023.04.039